みなさんこんにちは、街角キャリアラボの羽田です。大手企業の採用コンサルとして大手エアラインや外資系IT、総合商社などの採用を裏側でお手伝いしてきました。今は就活ラボという就活生向けコミュニティで限定のライブ講座やES添削、模擬面接個別面談などを通して就活生のサポートをしたり複数の大学で講師をしております。
今回は就活の基礎でもある自己分析の方法について具体的にお伝えしていきます。
自己分析はただ単にやっててもだめ
就活しているとやたら自己分析しろって言われますよね。あまりに言われるので「そんなことわかってるよ」と思ってしまう人もいるでしょう。
僕も、就活では自己分析をちゃんとしないとダメだと思っています。ただ、学生さんをみていると盲目的に自己分析をしているように見えます。就活サイトに掲載されている手法、ツールだけを盲目的にとりあえずやってみている感じがあるなあと。
でも、効果でないんですよね、目的なくマニュアルに沿ってやってるだけだと。
ということで、このコラムでは、遠回りかもしれませんが何故自己分析をするのか、そこから何を導き出すべきなのかについてお伝えし、その上で具体的な手法をお知らせいたします。めんどくさくてごめんなさい。でも、大事なことなんです!
*動画でも解説しています!
就活における自己分析の目的。自己分析をする理由
さて、では何故自己分分析をするのか。二つ、目的があります。
自己分析の目的①売り出す自分を知るため
まず大きいのはこちら。就活は「自分を売り込む事」に他なりません。ただ就活は「限定された状況」で自分を売り込まなくてはならない。「限定された状況」については別記事でどうぞ。
この「限定された状況」下では、くどくどと自分のことを説明している余裕はありません。端的に、かつ具体的に自分の事を伝えないといけないわけですがこれが難しい。
何故難しいかというと、多くの学生は自分の何を伝えるべきか理解できていないからです。「自分の何を売り出せば相手は買ってくれるか」。これを考えるのが自己分析です。
自己分析の目的②価値判断の基準を知るため
続いてこちら。自己分析って自己PRの為に行うプロセスだと思われがちですが、実は志望動機にもつながってくるのです。
自分が何を大切にして生きてきたのか?どんなことにモチベーションが高まり、逆にどんなことを避けてきたのか。
20年強生きてきたので、既にみなさんは多くの経験、意思決定をしているのです(大袈裟じゃないことでもいいです)。そこには何らかの価値判断の基準が存在しています。その基準の解像度を上げ、言語化していくことで自分がどんな業界、企業に進むのがいいかがわかってきます。
会社選びは「やりたい事」から考えがちですが、必ずしもそうじゃなくていいし、自分の経験を元に考えると、自分がどんな会社や仕事が向いているかの想像がつきやすい。そして志望動機ではそれを話せばいいだけです。
自分がこれまで、何を大切にしてきたのか。それを言語化できれば企業選びの軸になります。
これが、自己分析を行う理由の2つ目です。
ここまで、自己分析を行う目的について整理して書いてきました。では具体的な手法についてご紹介します。ただし、僕がご紹介するのはあくまで手段の一つ。これじゃなきゃだめってことじゃありません。どんな方法でもいいから、上の二つの目的をずらさないようにして欲しいですね。
①売り出す自分を知るため→自己PR
②自分の価値判断の基準を知るため→志望動機
自己分析のおすすめ具体的方法
僕がおすすめする自己分析の方法を2つご紹介します。
*動画でも解説しています!
キャリアアンカー式自己分析
街角キャリアラボでも提唱している「キャリアアンカー」。僕オリジナルではありますが、このキャリアアンカーを自分で見つけるワークシートをご用意しました。まずはこちらを無料でDLいただき、下の手順に沿って進めてください。その際の注意点もご確認を!
なお、この手法はトヨタ式思考法を取り入れています。トヨタ式思考法については下のリンク記事をご参照ください。
大学入学以降に起こった出来事で特に印象深いものを三つ選んで「Step1」欄に縦に三つ、エピソードを書いてください。自分にとって大きければどんな出来事でも構いませんが、「自分で選択した」行為があれば是非取り上げてください。
<<注意点>>
・取り上げるエピソードはそれぞれ”別ジャンル”のものにしてください。例えばサークルのエピソードで三つ並べない。サークルで一つ、バイトで一つ、留学で一つ、のようにすること。
Step1で取り上げたエピソードを「自分は何故それをしたのか」という視点で深掘りしてください。ここで上記のトヨタ式思考法が出てきます。繰り返し繰り返し、「何でだっけ?」を自問自答していくのです。やり方がわからない方は必ず手法について記事で確認してください!
<<注意点>>
・「何故したのか」の理由が2つある場合がある。例えば留学の理由が「異文化理解」と「語学力向上」の場合など。その場合はあえてどちらか一つに絞ること。
・「何故?」の際に嘘をつかない。かっこつけない。自分にとって正直に。
・枠の中にビッシリと書かない。なるべく端的に、かつ具体的に。
エピソード三つ分全て埋めたらStep4に書かれている事を眺めてみてください。それぞれ使われている言葉は別々でしょうけど、内容としては同じ事が書かれているんじゃないでしょうか。それがあなたのキャリアアンカー、価値判断の基準です。
これがキャリアアンカー式自己紹介です。
つまり、あなたがこれまで何を大切にして意思決定をしてきたのか、という価値判断の軸です。
導き出されたキャリアアンカーは、ご自身でも納得感のあるものではないでしょうか?僕はこのシートを多くの学生にやってもらってきましたが、たいていの方は二つか三つのエピソードの理由が揃います。
もし全く揃わない場合は原因は2種類。まずは分析の仕方が間違っている。Step2〜4が論理的に繋がっていない場合はStep4が揃いません。もう一つの原因は、そもそも経験不足。学生時代の経験が乏しいとStep1に書く内容がなかったり薄弱だったりします。この場合は・・・今すぐに何かアクションを起こして経験値を積んだ方がいいと思います(真面目な話)。
帰納法式自己分析
続いては帰納法自己分析です。帰納法とは簡単に言えば複数の要素から共通のコンセプトを抜き出す事で、ロジカルシンキングでは頻出する思考法ですね。
この帰納法を自己分析に当てはめてみましょう。アプローチ方法は一見するとキャリアアンカー式と同じくトヨタ式思考法に見えるかも知れませんが、トヨタ式が「深掘り」したのに対して帰納法式自己分析ではまず”分解”します(物事を要素分解する事をMECEと言いますね)。
さて、では早速ワークシートを共有します。解説を合わせてご覧ください。
「自分の好きなもの」や「熱中したもの」を三つ選んでください。逆に「苦手な事」「嫌いな事」でも構いません。「仲の良い人」「苦手な人」で比較しても面白いかも知れません。とにかくそれらをワークシート一番右の三つの箱に一つずつ入れてください。どんなに沢山好きなものがあっても三つです。どれを選ぶかを吟味してくださいね。
先ほど選んだものを三つの要素に分解してください。”好きな理由”や”要素”に分解するのです。もし三つ以上ある場合は、これも優先度をつけて三つに絞りましょう。
STEP2まで終われば、9つの要素がシート上に書かれていることになります。それらをなんとなく眺めてみてください。好きなもの一つにつき、一つずつくらいは「似たようなもの」が含まれていませんか?それがあなたの価値観の軸です。
いかがでしたでしょうか?どっちの方法でやってもいいですし、他のやり方でも構いません。
ただし重要なのは「売り出す自分を知る」「価値判断の基準を知る」の2つ。そこの目的をブラさずにワークに取り組んでみてください。