こんにちは。国家資格キャリアコンサルタント のざきまい です。
第2回目の記事、きょうはこの方をご紹介します。
● ホール(Douglas .T.Hall)さん
これまでキャリアとは、昇進や昇格をイメージするもの(=組織の中で力をつけてステップアップしていくもの)だと考えられてきました。ですが「それだけではない!」と唱えたのが、ホールさんの考え方です。
ホールさんは「キャリアはプロセスである」と唱え、
キャリアという言葉には4つの意味(①昇進 ②専門性 ③生涯を通じた職務経験の連続 ④生涯を通じた役割に関する経験の連続)があるとしました。
キャリアという言葉は、やはり色々な捉え方があるのですね。さて、ここからは目次に沿って進めていきます。
ホールさんの有名な考え方に、「プロティアン・キャリア」という考え方があります。
プロティアン=「変幻自在」という意味をもつこの言葉。変幻自在なキャリアって、いったい何だろう。
「プロティアン・キャリア」とは、環境の変化に応じて、自分自身も変化させていくという柔軟なキャリア形成のこと。
変幻自在と聞いて、私がパッと想像したのはカメレオン。
カメレオンは、環境に合わせて自分の色を変えて生きていく。そうした変化に対応することで自分を守り生きていく。そんなイメージを私は持っています。
決まった色に固執するのではなく、置かれている環境の変化に応じて自分自身の色を変化させていく。「自分の意思で、変化を起こす」。
環境の変化に、ただ流されて色を変えるのではないということ。
この点はプロティアン・キャリアにおいても、大きなポイントであると言えそうです。
ちなみに……「プロティアン(Protean)」の語源は、神プロテウス。
ギリシア神話に出てくる、「思いのままに」姿を変えられる神プロテウスが語源だとされています。(カメレオンではないのです。悪しからず……!)
従来考えられてきたキャリアのあり方は、組織内での地位や昇進などのステップアップに重きを置いた「伝統的なキャリア」が主流でした。「プロティアン・キャリア」は、そうではなく「個人」が主体となって、自己成長や気付きといった自身のステップアップ(心理的な成功とも言われている)に重きを置いた、キャリアについての考え方なのです。
「個人」を主体とした「プロティアン・キャリア」の考え方は、組織や相手目線の評価ではない。人との比較ではないということ。
従来考えられてきたキャリア(伝統的なキャリア)との違いを、ホールさんはこのようにまとめています
キャリアは、個人によって形成される。
・自分自身がどうなっていきたいのか
・自分がどう自分のキャリアを評価していくのか
そんな視点が詰まっているキャリアについての考え方である、とも言えるのです。
う〜ん。とはいえ……頭ではわかったとしても、実際にはどうすればいいのだろうか。
ホールさんはプロティアン・キャリアを築いていく上で2つの重要なコンピテンシー(あることを成し遂げるために共通している行動特性)について述べています。
①アイデンティティ=「自分は何者なのか」という自己概念についてまずは自分自身について知ること。
⑴社会や組織、役割の中で見られている自分
⑵自分が認識している自分
これらの違いを理解して、「自分」を捉えていること。
また、過去・現在・未来の自分を一貫として捉えていること。
②アダプタビリティ=「自分には何ができるのか」という能力やスキル、力量についてを知り「なぜそれがしたいのか」というところまで動機付けができていること。
組織の中で何ができるのかではなく、社会や市場という広い視点で捉えた時に、自分には何ができるのだろうか、なぜそれがしたいのだろうか、ということについて理解していること。(ホールさんはこのアダプタビリティを「適応コンピテンス×適応モチベーション」という掛け算でも表現していることからも‘ただの適応性‘ではない!ということ)
これらをまとめると、
「自分自身と向き合い理解して、社会で何ができるのかなぜそれがしたいのか」
という視点でキャリアを捉えていくことが、プロティアン・キャリアという考え方においては重要だと言えそうです。
※上記は私なりの解釈です。
「プロティアン・キャリア」についての考え方は、様々な先輩方の著書も含めてたくさん出ています。私も引き続き、勉強していきます。
人生100年時代と言われているこの社会において、より柔軟な働き方や生き方、個人としてのキャリア形成のあり方が重要視されています。そんな現代社会において、「プロティアン・キャリア」の考え方はとても大切だと考えます。何が重要って、これを知っておくことで自分自身を守る備えができると考えているからです。
いつまでも組織(企業)に守ってもらえるか?と言われたら、そうではない。現在のコロナウイルスの影響のように、急に社会全体がものすごいスピードで変化していくかもしれない。
何があるかわからない社会だからこそ、一人一人が「個人主体」で自身のキャリアについて考えることは、とっても大切だと感じています。地位や名誉、昇進や昇格だけがキャリアではない、そんな視点もとても私にとっては気づけてよかった考え方でした。
また単に「仕事にする」というだけではなく「なぜそれをするのか」「なぜそれがしたいのか」。これらについてしっかり自分自身で理解しておくことで、組織や環境に囚われない、自分らしいキャリアが築いていけるのかもしれません。
自分のキャリアは、自分で築くんだ。
だから、自分のことを知ろう。
少しでもやりたいこと、できることを増やしておこう。
さて、次回は「スーパー」さん(キャリア・レインボー)について語ります。
今日もありがとうございました^^