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理系院生が教える!理系のES・研究概要書の書き方

こんにちは!理系大学の修士2年、22卒就活ラボ2期生のtamaです。先日は、夏インターン全落ちからの立て直し方についてご紹介しました。
今回は、理系学生の就活には切っても切れない存在の研究紹介についてです。本選考の書類選考を全社突破した私が、実際にどのような形式を指定されたのか、また何に気をつけて作成したのか等、基本からご説明します!

研究紹介は何のため? 〜伝えるべきは「再現性」〜

そもそもですが、なぜESや概要書等、研究について問われるのでしょうか。

どんな研究をしているか知りたいから (専門性)

これを第一に思いつく方は多いのではないでしょうか。私も就活を始めたばかりの時はそう思っていました。しかし、実際に企業がより知りたいのは

どのように研究に取り組んでいるか知りたいから (姿勢)

です。勿論、大学での共同研究先等、ラボでの研究と一致する場合は専門性も重要視されます。ではなぜ専門性<姿勢なのでしょう。キーワードは「再現性」です。

研究紹介もガクチカや自己PRのエピソードと同じく、あなたが企業での研究においてどのような考え方や取り組み方をして、どのように結果を出してくれそうか、その「再現性」を図りたいのです。

つまり、「再現性」がその企業での研究方針に合えば大学での専門とぴったり一致しなくても内定をいただくことは難しくないのです。実際に学士・修士(博士前期)過程の学生は大学での研究が直結する仕事に就く人は多くないですし、逆に自分の学んできた分野しかやりたくない!という人よりも企業に入ってから勉強します!という人の方が配属先にも困らないですし、重宝されそうですよね笑

正直、大学や大学院で1〜3年学んだ程度ではその分野のプロフェッショナルにはなれないです。だからこそ、「私は○○の分野を学んできました!」だけではなく、「私は研究を進める上で□□することが得意です!」といったどのような分野の研究にも共通するような「再現性」をアピールすることが大切だと思います。

研究

研究紹介の種類 〜選考フローから分かる「読んでもらえる」とは?〜

では実際に、研究を紹介する機会としてどのような形式があったのか説明したいと思います。22卒の私の場合、大きく分けて

①ESの設問
②研究概要書
③技術面接

の3つでした。

①②はweb上マイページでの提出、③はオンライン(最終のみ対面と選べた企業もあり)と、対面での本選考活動はありませんでした。

選考フローとしては
ES・webテスト・研究概要書→人事面接→技術面接→最終面接
ES・webテスト→人事面接→研究概要書→技術面接→最終面接
ES・webテスト・研究概要書→技術面接→最終面接

など書類の提出や各種面接の順番は様々でしたが、準備が必要な種類としては各社でほぼ変わりませんでした。この選考フローからわかるように、ESの研究説明だけでなく、研究概要書も比較的早い段階で提出します。ここから読み取れることは何でしょう?

それは、研究概要書は必ずしも理系の人事または社員さんが読むのではないということです。つまり、理系の知識がない人にも「読んでもらえる」ような書き方をする必要があります。「読んでもらえる」という意識が大切です。何百、何万とある資料に目を通す時に、よく分からない専門用語ばかり並んでいるものは「読んでもらえる」でしょうか?

出せば読んでもらえる、そんな甘いものではないです。しっかりと時間を割いて読んでくださる方の立場になって考えた研究紹介をする必要がありますよね。
そこで、以降では
①ESの設問
②研究概要書

について実際の事例とともに、「読んでもらえる」ために気を付けたことをご紹介します。

大量の資料

ESのポイント 〜語りすぎず「再現性」を〜

設問としては

・学生時代に一番力を入れた科目、講義について教えてください。
・研究テーマについて教えてください。

というものが中心でした。中には卒論と修論それぞれについて設問がある企業もありました。文字数は大半が200か300字以内、多いところでは600字以内でした。つまり、一般的なガクチカ等他のESの設問と同じくらいのウエイトということです。では、ここで一番悩まされるのはなんでしょう?
それは、「文字数」という壁です。

理系は語りがちですよね(笑)そんな我々には、学生生活後半のかなりの時間を費やしてきた研究を語るのに200,300字では足りないのです!(笑)学会でもこんなに短く書くことはなかなかないですよね。そこで!次は、少ない文字数で何を伝えるべきなのかを考えていきたいと思います。ここで先ほど説明したことを思い出していただきたい。キーワードは「再現性」。まずは下の例をご覧ください。

私の研究テーマは〇〇〇〇です。〜という背景があり、〜という点に新規性があります。〜という結果が得られ……

ここから伝えられたのはどんな「再現性」でしょうか。頭の片隅に置きつつ、もう一つの例をご覧ください。

私の研究テーマは〇〇〇〇です。本テーマを進める上では〜という困難がありました。そこで〜を工夫し……

1つ目と比較していかがでしょうか。2つ目の例では1つ目とほぼ同じ文字数で、「再現性」がより明確になったのではないでしょうか。具体的に言うと、1つ目がテーマ説明なのに対し、2つ目は研究をこうやって進めていけますよ、というどの分野にも不変な能力を表現できています。

どんな研究をしているかについての記述が少なすぎない?と思う方もいらっしゃると思いますが、大丈夫です!研究概要書があります!笑ただし、こちらも語りすぎには要注意です。あくまで「再現性」が大事なのです。では次節で詳しくみていきましょう。

研究概要書のポイント 〜「読んでもらえる」と「再現性」〜

読んでもらえる資料

研究概要書の形式は各社で変わりますが、

①A4 1枚
②A4 2枚
③形式自由 10分以内で発表

というものがありました。
①②では、ppt等で作成するポスター形式とword等で作成する書類形式が想定されます。
③では、ppt等で作成するスライドもしくはポスター形式が想定されます。作りやすい、表現のしやすいものを選ぶのが良いかと思いますが、ここでは私が選んだ形式と理由、構成をご紹介したいと思います。

① A4 1枚,②A4 2枚 →ポスター形式
選んだ理由は「読んでもらえる」かを重視したからです。前述のように、これは理系のバックグラウンドのない方も読まれます。よく分からない分野の書類を見せられるよりも、イラストや色が豊富なポスターの方が読んでみようかな、少し分かったかもな、と感じる「読んでもらえる」概要書となると思いました。

たくさんの応募者の書類に目を通さなければならない、時間のない中で、これなら読んでみようかなと目に留まるものを提出し、まず興味を持ってもらう。そして詳しく知りたいと興味を持ってもらったことを面接で聞いてもらうという戦略で臨みました。

③形式自由 10分以内で発表 →pptのスライド
選んだ理由は10分という比較的長い説明時間でも最後まで聞いてもらえるかを重視したからです。ポスター等で一枚に多くの情報があるよりも、小出しでスライドが移り変わっていく方がより長い時間興味を持って聞いてもらえると思いました。発表する際にも、どこの説明をしているのかスライドの方が一目瞭然なので発表しやすかったと感じました。

次に構成ですが、
①緒言…研究背景、新規性
②目的…研究目的
③実験結果
④結言…目的に対して得られた結果、研究活動で工夫した点

とし、それぞれおおよそ
緒言:目的:実験結果:結言=1:2:3:4
の割合にしました。

この割合に違和感を覚える方も多いかと思います。学会の予稿や発表と比べ②④のウエイトがかなり大きいからですよね。なぜここに重きを置くのか、それはここでも「再現性」をアピールしたいからです。具体的には②に、現状把握からの課題設定能力、④に工夫した点を入れることにより研究の進め方、取り組む姿勢を示すことができます。④はESでも触れているかもしれませんが、重複しても大丈夫です。そして軽く見がちかもしれませんが、ここでは②により神経を集中させてほしいです。

なぜなら、企業側は「先生からこのテーマをもらったからやっています」というのではなく、しっかりとそのテーマの意味を理解しているかを②の部分から読み取るためです。もちろん勉強中で構いません。自分がこういうふうに理解してこの研究の肝はここなのだと示す、それが重要であると感じました。

まとめ

理系就職を考えている方は避けて通れない研究紹介ですが、キーワードは「再現性」と「読んでもらえる」の2つです。研究と就活の両立は難しい時期もあるかもしれませんが、就活に没頭しすぎて研究を疎かにすると研究者としての「再現性」を十分に伝えることができません。試行錯誤しながらも研究と就活のバランスを考えながら計画的に進める力を培うことは、就活以降にもきっと役立つと思います!
最後まで読んでくださりありがとうございました!