Career Building SPECIALインタビューでは、学生や若手社会人の「キャリア」について第一人者や先駆者にお話を聞いていく、という趣旨のインタビューシリーズです。第三弾はフリーランスとして5社から給料をもらっているスーパーパラレルワーカー、山田さんの仕事っぷりに一日密着してきました!
最近よく聞く「パラレルキャリア」や「副業」。「終身雇用崩壊!」「これからは個の時代!」とよく言われてはいるけれど、どこか1社に就職してその中でどう働いていくか、という意識がまだまだ強い人が多いのが実情ではないでしょうか!?どこか遠い世界のことのように聞こえてしまいますよね。
そこで今回は、12年間サラリーマンをした後に独立してフリーランスになり、顧問やアドバイザーを務め、5社から給料をもらっている山田功生さんに、街角キャリアラボ運営メンバーの田中と長澤が一日密着取材をしてきました。
フリーランスってどんな1日を過ごしているのか?そして複数の企業から信頼されて仕事が任されるようになるにはどんなスキルが必要なのか?
含蓄しかない密着記事をお届け!
(取材・執筆:羽田 啓一郎/同行者:田中 麻里安・長澤 紀子)
*この記事は2020年2月時点の情報を元にしています
登場人物
マイナビで12年間勤務。法人営業を経験した後に研修事業の新規立ち上げメンバーにジョイン。 研修商材の新規事業立ち上げで戦略立案や商品開発やプロモーションを経験した後、2018年に独立。現在は5社の役員や顧問、アドバイザーとして多彩な活躍をしている。
慶應義塾大学2年生。長期インターンなども経験しつつ街角キャリアラボ運営メンバーに参加。Growth Laboの商品企画チーム。
日本女子大学2年生。長期インターンではベンチャー企業でインバウンドセールスを担当し、街角キャリアラボ運営メンバーに参加。twitterをはじめとするプロモーション担当。
街角キャリアラボのオーナー。今回はカメラマンに徹しているため登場しませんが、裏でバタバタと動いてました。
【09:30】大井町のカフェで待ち合わせ
皆さんこんにちは、街角キャリアラボ運営メンバーの田中と長澤です!今日はスーパービジネスマンの山田さんに1日密着して「評価されるビジネスパーソンってどんな人なのか」を吸収したいと思っています。
5社から給料もらってるって響きがやばい 。
ロジカルゴリ押しの怖い人だったらどうしよう・・・
おはようございます、山田です。今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします!(良かった!意外とマイルドだ!)
今日はまず、朝にエイムソウルっていう会社に同行してもらいます。エイムソウルはもともと企業研修や研修ワーク教材を作っていた会社です。
みんなのような学生さんが参加する企業のインターンのプログラムとかを受託して作っていたんです。
ふむふむ
でも、そのビジネスモデルを変革しようということで、自分たちのオリジナル商材を作っていこうという話がありました。その流れでCQIという外国人向け適性テストを開発して、2020年1月から販売しているんです。外国人の受験者がその企業のカルチャーに合っているか、もしくは合わせることができるか、というのを見るテストなんですけど。開発メンバーも一橋大学の名誉教授や東京大学の博士がいて、とにかくすごいプロジェクトなんです。
山田さんはその中で何をやってるんですか??
僕はマーケティング担当ですね。もともと前職で企業向けの研修商材の新規事業立ち上げとかやってたし、今はマーケターとして仕事しているので。ブランディングや価格設定や商品用Webサイトの設計も担当してます。
さ、エイムソウルのオフィスはここからすぐなのでそろそろ行こうか。
【10:00】エイムソウル社で定例会議
というわけでエイムソウルさんのオフィスに到着。会議室に入るとCQIの各メンバーがそれぞれの進捗を共有していました。今年1月にリリースされたばかりの商材なので、皆さんで力を合わせて色々試行錯誤している様子。
開発担当の方が、CQIの有効性を示すデータが表れた、と報告した時は「おー!」「やったー!」という拍手が関係者間で起きたのが印象的でした。とても楽しそう・・・!
CQIの顧客は外国人採用を行いたい企業。山田さんはマーケティング担当として企業にどうやってこの商材を届けて興味を持たせるか、そして契約に至るかを外部アドバイザーの視点でビシバシと指摘していました。
山田さんがトイレに行っている間に、エイムソウルの社員さんに山田さんの印象を聞いてみよう・・・。
山田さんって、エイムソウルさんから見てどんな方ですか?
山田さんは超目的思考の方ですね。目的に対して最短距離で行く人。
でも、自分の立ち位置や求められていることは理解してもらってると思うから僕たちもやりやすいです。僕たち社内の人間だけだと考え方とかどうしても似てきてしまうし、社内の力関係で気にしてしまうこともある。そこを外部のプロフェッショナからズバッと刺してもらえるのはありがたいですよ。
なるほど、社外の人だからできることがあるわけですね。
そうですね、山田さんが入ってから、チームメンバー全体の思考パターンが変わった気がしますね。山田さんは人の使い方がうまいんですよ。それぞれの特性を瞬時に見極めた上で外から采配してくれる。でもロジカルなだけじゃなくてエモーショナルな部分もあるんです。
最短距離で行きたい、というのはみんなが思ってることですもんね。そこに外部人材が入ることで加速していくのかー、なるほど。。
こんな感じで、1時間程度の定例ミーティングは終了。エイムソウルさん、ありがとうございました!!
【11:00】電車で自由が丘に移動
さて次はちょっと予定してなかったんだけど、マニラでビジネスやってる友達がたまたま帰国しててランチミーティングしよう、と誘われたから同席してもらえる?
(マニラでビジネスやってる友達って何者・・・?)
山田さんってどうやって仕事を見つけてくるんですか?
人によってスタイルは色々あると思うけど、俺の場合は12年間のサラリーマン時代の経験や実績があるからだと思うよ。自分がこれまでやってきた仕事のことは自分で語れるでしょ。だからはじめまして、と人に会った時にちょっと話せば「ああ、この人は自分で作ってきた人だ」って分かってもらえる。俺は自分から仕事ください!って言ったことはないなあ。
どうして12年も同じ会社で働いていたのに独立しようと思ったんですか?
もともと会社に長くいようとは思ってなかったんだけど、自分に任せてもらえる仕事もあったからそれなりに楽しく働いてました。ただ、13年目の人事異動に不満があってね。それがストレスでそれなら辞めようかなって。
もともと辞めるつもりだったってことですか?
辞めるとも独立する、とも思ってなかった、が正しいかな。僕はとにかく市場価値が高い人間になりたいと1年目から思ってたんですよ。それで前職は営業マンとしてキャリアをスタートしたんだけど、売るだけのスペシャリストになっても市場価値は上がらないなとある時思った。新人MVPとか月間MVPとか年間MVPとか受賞する営業マンはたくさんいるしね。
確かにMVPを名乗る人って沢山いますよね・・・。
それであれば営業マン個人個人の力じゃなくて、売れる仕組みを作るマーケティングや事業開発のフィールドに行こうかなと。
だからビジネススクールのグロービスに通って経営戦略とマーケティングを学んだんです。そうしたら社内で研修の新規事業が立ち上がるという話があったのでそこに参画させてもらって、学んだマーケティングとかを実践で活かして新サービスを立ち上げたりして実績ができてきたんです。
そうやってキャリアを作っていったんですね。でもフリーランスって不安定だと思うんですけど、将来に不安とかないんですか?
この先のキャリアとかも特に決めてないけど、不安はないね。ストレスもないです。これまでやってきた自分の仕事の経験もあるし、やはり12年間のサラリーマン生活でビジネスの基本的な足腰ができているからなんとでもなると思ってます。周りに信頼できる仲間がたくさんいることも安心材料。
やっぱり最初の社会人人生は大事なんだな・・・。
あとね、みんな上ばかり見てるから不安になるんですよ。この世界にいると、自分よりすごい人はたくさんいますからね。自信過剰は良くないけど、下には下がいる。僕は結構冷静に自己評価をしていて、自分がすごいとは思ってないけど、自分なりの強み弱みはわかってるつもりです。
さて、山田さんが次に向かったのが自由が丘。ここでマニラから帰国したビジネスパートナーとランチミーティングだとか。
【11:30】自由が丘でランチ
本当にたまたま昨日連絡もらったんです。今日の取材的にもいいかなと思ってセッティングしました。
昨夜日本に帰ってきたんですけど、山田さんにビジネスの相談したかったのでタイミングあってラッキーでした。あ、俺ビール飲んでいいですか?山田さん、飲みます?
飲んじゃおっか。
(日中から飲むんですね・・・!)
みっちゃん(三橋さん)は今、マニラで英語留学とコールセンターを掛け合わせた事業を経営してるんだよね。
そうそう。英語留学したい人、留学費用も宿泊費用も全部無料で。
え?全部無料??
全部無料です。留学期間中はうちで用意してる寮に泊まってもらってるんですけどね。ただし、滞在期間中はコールセンターのオペレーションをインターンとしてやってもらってます。僕は日本企業からコールセンター業務を委託を受けて、それをしっかり回すことで収益化してるのです。
みんなもお客様コールセンターとか聞いたことあると思うけど、あの業務をみっちゃんは企業から委託を受けて運営しているんですよ。そしてそこのオペレーターを日本から連れてくる。住み込みで働いてもらう代わりに英語の留学費用を全額負担してあげてる、と。
すごい・・・。みんな幸せなモデルじゃないですか・・・。もともとそれがやりたかったんですか?
いや、俺はそんな真面目なタイプじゃないです。大学までは遊んでばっかりで真面目にやってなかったから仕事だけは打ち込もうと思って最初は就職したんですよね。そこで太陽光パネルの新規事業とかやらせてもらったり民泊のビジネスやって23歳で速攻で独立したんですよ。
何の分野で起業したんですか?
発電所を作りました。5300万円借りて。
すご。
俺は「やりたいこと」とかじゃなくて「儲かりそうだな」と思うことに首突っ込んで色々やってる感じですね。上手くいっているビジネスモデルを徹底的に研究して、自分なりの要素を組み合わせていかに自分で再現するか。で、コールセンタービジネスはあり得るなと思って今はそれにコミットしてます。俺は今の瞬間を楽しむってことを大切にしてるので、モットーは「頑張るぞ」です。超シンプル。
笑。一瞬億万長者になったんだよね?
そうそう。仮想通貨で一発当たって億単位で稼ぎました。2時間で吹っ飛びましたけど。
その他、ここでは書けないような話を色々聞かせてもらいました。途中、お二人はビールをおかわりされてました。グローバルで活躍されている方の力強さ、勢いを感じたランチミーティングでした。三橋さん、ありがとうございました!(三橋さんの山田さんへのビジネスの相談はそういえばなかった気がする!)
そして次は山田さんのご自宅に移動。韓国の会社とオンラインミーティングがあるそうです。移動で使ったタクシーの中で山田さんはお昼寝。ビール飲んでましたからね。
【14:00】ご自宅でオンライン会議
さて、世田谷にある山田さんのご自宅に移動。妥協せずに見つけたお気に入りのご自宅だそうですが果たして・・・?
すごい・・・!窓が・・・窓が広い!
地下にはシアタールーム。普通の部屋にプロジェクターをつけているだけだけど。。。。屋上はテラスがありますよ。俺は今からミーティングがあるからちょっとくつろいでいてね。
そして山田さんが取締役を務める(株)ビーウェルの韓国支社長とのオンラインミーティング。ビーウェルさんは韓国人むけの日本企業就職サービスを展開されていて、韓国政府とも連携しながら事業運営をされているそうです。山田さんはこの会社の取締役として事業を成長させるために関わっています。
また山田さんは、ITエンジニア教育の業界トップレベルの(株)エンベックスエデュケーションの顧問を務めたり、デジタルマーケター育成事業の(株)D M Uも経営していて、順調に伸びているようだ。どこまで多方面なんだ・・・。
【15:00】山田さんに色々とお話を聞く
ミーティングが終わった後、山田さんに色々とお話を伺うことができました。ビジネスについて、キャリアについて、二人が感じた質問に、山田さんは丁寧に答えてくれました。
成長欲求の高い学生の間で就職するならベンチャーか大企業か、といった話がよく出てくるんですが、山田さんはどう思いますか?
俺はファーストキャリアを大企業で始めるのは賛成だね。大企業を内側から見ることのメリットは大きいですよ。学生さんにはなかなか伝わらないかもしれないけど、人が一人で動いているわけじゃない以上、組織の力学とかパワーバランスってあるんです。そういうのを勉強するなら大企業じゃないと難しい。俺は12年間企業の中にいたから、今は新しい人と出会っても「この人が会社のキーマンだな」とかわかるようになりました。
大企業は安定志向の人が多いのかなと思ってるんですが、そういう中に入って自分がどうなるのかちょっと心配で。
そうだね、染まられ方は大事かもしれない。成長しようと思わなくなったらおしまい。あと、どんな上司の下につくのかは結構重要だと思う。上司は選べないのでなんとも言えないけど、一つ言えることは上司に成長を頼っちゃダメだよ。成長はあくまで自分でするもの。
山田さんの仕事のポリシーってありますか?
ポリシーってほどじゃないけど、なるべく自分でやらないようにしてるね。俺は目標に向かって最短距離で行きたいんですよ。で、自分ができないことは出来る人にパスしたいんです。自分がキラキラしているのではなくてチーム全体でどんな成果を出せるかが大事だと思ってるから、自分で手を動かすのではなくて全体を描く側に行きたいなって。
いつからそんな風に考えるようになったんですか?
昔からリーダー気質ではあったと思う。ガキ大将だったし。欲に素直なのかも(笑)。貧乏は嫌だし豊かな生活を送りたい。友達も家族も欲しい。そういう毎日を送りたいと思ったらやっぱり仕事で成果を出してビジネスを成功させていこうと思うわけです。その為にはちゃんと人と良い関係を作って、みんなで結果を出そうと意識していると思います。
でもたくさんの仕事を掛け持ちしてると大変そうですけど・・・。
これはフリーランスならではだと思うけど、仕事のペースを自分で決めれるから余計なストレスはないですよ。自分の中では毎日ランニングしてるくらいのペースです。たまに瞬間的に全速力で走る時もあるけど、キャパオーバーになるまで働かない。余裕がなくなったら、逆にマイナスなことが多くなると思ってる。あと、我ながらストレスを減らす天才だと思ってます。自分のストレスの元を知ってるし、その改善方法をちゃんと知ってる。
ちなみに、何なんですか?
俺の解決法はサウナ。常に物事を考えてしまう性格で、せっかち病だと自分で思っていて、定期的に思考を停止したほうが良いなと思っている。P Cシャットダウンの感覚かな。サウナは脳ミソを止められるんだよね。
フリーランス、能力がある人なら今の時代にはあってるかも。。。
確かにフリーランスとか自由な生き方礼賛みたいな風潮はあるけど、でも課題も分かってきた。フリーランスだと多くの人にソリューションを提供することができないし、社会貢献度は低くなるし、社長や事業責任者のようにど真ん中にはいられない。例えば、フリーランスはオリンピックを誘致できないよね。だから、俺は自由だしストレスもないけど、小さくなっちゃったなってたまに思います。
やりたいことがない、という人に対して何かアドバイスはありますか?
俺も学生で就活した時、やりたいことなんてなかったんですよね。だから全ての業界や興味が湧かない会社も一旦見に行きました。でもね、それでもやりたいことなんて見つからなかったですよ。就活で見つけるのは無理だなと思って、それで幅広い業界や人に会える仕事につこうと思って。そうすると究極的には「お金」と「人」だったんだよね。それで俺は人材業界に入ったというわけ。社会に出ても人生かけてやりたいことが見つかった!というわけじゃないけど、目の前の面白そうなことをやってます。
学生や20代の若手にメッセージをお願いします。
社会に出て最初の数年間は社畜になってもいいと思いますよ。とにかく与えられた仕事にがむしゃらに取り組む。実績がないと信頼は得られないし、その後のキャリアは広がらないからね。
あとはやっぱりロールモデルを見つけることかな。この人みたいになりたい、と思える人を見つけて欲しい。ただ、ロールモデルが天才だったらやめた方がいいよ。あの人たちにはなれないから。自分の手が届く人、身近な人をロールモデルに選ぶといいよ。
私の夢はこんなに大きい窓がある家に住むことなんて、今日は完全にロールモデルに出会ったなというつもりなんですけど。
笑。頑張ってね。応援してます。
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