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就活スケジュール廃止の影に隠れている本当の意味は、意外と知られていない!大学1,2年生は必見!

「就活スケジュール廃止」

大学生ならこの言葉は聞いたことあるんじゃないかと思います。”就活スケジュール”は日本の奇妙な就活習慣のシンボルとして、日本の就活シーンの歴史に燦然と輝いていました。

そして2018年、経団連の中西会長が「就活スケジュール撤廃」という発表を行なったことで、就活界隈が騒然とし始めたのです。

学生の皆さんも「まじか」となったのではないでしょうか。そしてこのキャッチーな言葉だけが世の中に出回り「大学1年生のうちから内定が出るらしい」なんていう噂まで出ていました。

ただこれは、実は本質ではありません。そもそも何故こんな事になったのかを理解しないと、経団連(=産業界)の本当の意図はわからないでしょう。

という事で、この記事では就活スケジュール変更の歴史とともに、これからの大学生が何を気にしなければならないかを書いていきます。

このコラムで伝えたい事

大学生に求められるものが何故変わるのかが理解できる

就活スケジュール変更の歴史

さて、まずは就活スケジュールがどういう経緯で変更されていったのかを簡単に振り返ってみましょう。

就職協定(1953~1996年)

戦後の好況な状況の中で企業の学生採用が過激化していく中、「もっと学業させろ」という教育機関からの要望に応える形で登場した「紳士協定」。罰則があるわけではなかったので暗黙の前提とした”共通認識”に留まり、実際は青田買いが横行していた。

で、意味ないじゃんという事になって1996年に廃止。

経団連の倫理憲章(1997年~2013年)

で、就職協定廃止後に登場したのがいわゆる「倫理憲章」。これは日本経団連が取りまとめて発表していたもので、これも「紳士協定」といえば紳士協定だった。

「正式な内定日は卒業年の10月1以降とする」という記述はあったものの、それ以外のルールは明文化されていなかったので、結局これも青田買いまがいの行為が横行。ただ丁度インターネットが普及し始めた頃で、隠れて青田買いすることは難しくなる中で、2003年に「卒業年度になる4月1日以前の選考は行ってはならない」と改定され、経団連加盟企業に署名させるという強硬策が発動。倫理憲章署名企業は一覧として発表されて話題となった。

この頃は大学3年生次の10月から採用広報活動がスタートし、4月から選考が行われる、というスケジュールだった。*その後、採用広報開始が12月になったりもした。

経団連の採用選考指針(2013年~)

安倍政権の日本成長戦略の中で人材育成に関しての言及があった事で、採用活動の後ろ倒しが盛り込まれる事に(つまり学業優先、ということ)。

で、以降は正式にはこれは倫理憲章ではなく「採用選考指針」と呼ばれる。2016年卒の採用活動から就活解禁日を3か月遅らせて、3年次の3月1日から、選考開始も4か月遅らせた8月1日からとなった。

ただ、これではあまりにも後ろすぎるという事で翌年の2017年卒から選考開始が6月1日開始に。以降は3年生次の3月1日から採用情報解禁、4年生の6月から選考開始、というスケジュールが2019年現在まで続く。

中西会長が発言したのは、この現在のスケジュール感の話を元にしている。

就活スケジュールの弊害

上の歴史を見ると、時代によって色々と時期が変更になっているのがお分かりかと思います。

で、ここ最近の事情に限定しますが、経団連の仕切りでは色々と課題を内包していました。つまり経団連に加盟している国内の大手企業には署名させたりして表向きの採用活動スケジュール順守の姿勢が取らせることができましたが、経団連に加盟してない企業にとっては何ら効力がないものだったのです。

ちょっと前までは、日本の新卒採用市場では国内大手企業が強い影響力を持っていたので経団連が仕切っていても問題はなかったのですが、学生の人気が外資系やベンチャー企業にシフトしていく中で経団連は影響力を失っていきます。

外資系やベンチャー企業に優秀学生の人気が集まっていく中で、外資系やベンチャーは倫理憲章ガン無視でとっとと採用活動を始めてしまう。

で、経団連企業は倫理憲章のスケジュールせいで内定を出せず、自社がやっと採用活動を始められる頃には優秀な学生の多くはすでに就活を終えている、という地獄絵図が出来上がってしまったわけです。

それをなんとかして防ごう、ということで「採用活動じゃなくインターン」が横行します。

ただ、インターンは企業にとっては実質的には採用広報活動であることが多く、インターン参加学生で優秀そうな学生は別ルートを設けて採用したり、「面接」じゃなくて「面談」をして、裏側で優秀学生を囲い込んでいくような行為が行われていきました。まあ、言葉遊びというか、茶番ですね、はっきり言って。

経団連は大手企業の集合体な訳で、自社に優秀な人材が入ってこないのは1社1社にしてみれば由々しき事態。「学業優先」という美しい理念は掲げつつも、それだけで済ませられない難しい事情があったのです。

就活スケジュール廃止の本当の意味

・・・いかがですか。なかなかずんどこですよね(笑)。

結局、経団連が必死にやっていたことは形骸化していたわけです。そんな状況を否定したのが2018年の経団連中西会長の発言だという事になります。僕、超賛成です!!

ただ、冒頭にお伝えした通り経団連の意図は別に「就活スケジュール撤廃」だけではありません。彼らの発言の要旨は下記の通りです。

  • これまで日本は新卒一括採用を行い、終身雇用の仕組みの中で会社に入ってからビジネスマンとして鍛えられていく仕組みだった
  • これからはもう無理。終身雇用も維持できないし、グローバル競争社会の中では新卒学生にも即戦力を求める
  • なので、学生のうちに何らかの専門性を身に付けてもらい、入社後にすぐにパフォーマンスを発揮して欲しい
  • ということで、経団連も就活スケジュールを撤廃するが、教育機関にも教育の質的改善を要求する

今後の大学生が抑えておくべきは一番下の「教育の質的改善」。つまり、学生にもそれなりに専門性を求めるぞ、ということです。これまでのようにはいかんぞ、と。

そんなすぐに変化があるとは思えませんが、現在の大学1年生とかはちょっと影響出てくるかもしれませんね。企業の採用手法なども変化してくるかもしれません。

結局、実質的には就活スケジュールは変わらない

というわけで、紆余曲折あった上で経団連はもう就活スケジュールについては仕切らない、となったわけですが、結果的には変わらない事がわかっています。

結局、仕切るのが経団連でなくなっただけで、今後は政府が主導していくそうです。で、スケジュールは現行の「6月選考解禁」のまま。

これには、大学側の主義主張が関与しています。大学にとってみれば就活スケジュールが撤廃されて企業がフリーダムに採用活動をし始められると困るわけです。

この辺が日本のいいところでもあり悪いところでもあると思いますが、急激な変化を好まず、無難にソフトランディングさせていくという考え方なのでしょう。

ただ、教育機関が現行のスケジュールを維持しようとしても、競争が激しい企業側が学生に求めるものは変わってきます。スケジュールの変更云々ではなく、より本質的な事を学生は考えるべきです。

スケジュールが変わらないのは行動の予測は立てやすくなるということでもあります。現在の高校生や大学1年生は、自分が学生時代のうちに何を身につけておくべきかよく考えて、学業や課外活動に取り組んでもらいたいなと思います。

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