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「”やりたいこと”を徹底解剖!」喜多恒介さんインタビュー

Career Building SPECIALインタビューでは、学生や若手社会人の「キャリア」について第一人者や先駆者にお話を聞いていく、という趣旨のインタビューシリーズです。第一弾はここ10年間の学生向けキャリア支援をリードしてきた喜多恒介さんに、学生スタッフの田中と米川が同行してお話を伺ってきました。

Intro
かつて「日本で一番有名な大学生」と呼ばれた大学生がいる。その名は喜多恒介。東京大学に7年間在籍したのちにSFCの大学院に進学。在学期間中に官民を巻き込んだ様々なプロジェクトを立ち上げて拡大させていった有名人である。2010年前半の学生団体が隆盛を極めていた頃の大学生なら、彼の名前を一度は聞いた事があるかもしれない。

現在は大学院で学んだことを、自らが経営する会社でキャリア支援の事業として実践している。そしてそんな彼も遂にこの2020年の夏に大学院を卒業するという。平成の最後から現在まで、一貫して「キャリア」に向き合ってきた当事者にインタビューした。大学生や20代社会人は必見!
(取材・執筆:羽田 啓一郎/同行者:田中麻里安・米川帆香)
*この記事は2020年2月時点の情報を元にしています

喜多さんが主催するNCSの合宿の様子

興味を持っても行動しない。機会があるのに動かない大学生はもう厳しい

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羽田

最近の喜多君はNCSをメインで活動しているんですか?

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喜多さん

そうですね、NCSがメインです。ただ最近は高校生に奨学金を提供して海外に派遣するプログラムなど下の年代にも力を入れていますね。意欲の高い高校生は日本の大学に行かない方がいいんじゃないかなって(笑)

MEMO
NCS=Narrative Career School。喜多君が2017年にスタートさせた、「キャリア教育のライザップ」。
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羽田

どうして高校生に力を入れているんですか?

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喜多さん

熱いからですよ。スキルとか実力とかそういうのじゃなくて、物事に取り組む姿勢がピュアだし可能性がある。マインドがいいんですよ、高校生は。反対に大学生は・・・界隈的になかなか厳しいものがありますね。

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田中

大学生は厳しいですか?

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喜多さん

厳しいですね。僕も色々立ち上げてきましたし、キャリア大学とか羽田さんが立ち上げたMFCなどなど、今は大学生は機会なんてたくさんあるじゃないですか。これだけチャンスと機会が色々ある中で動かない大学生はもうきついと言われていますね。メンタリングなど手厚くしてあげないと動けない人は支援コストがめちゃくちゃかかってしまうので、既存の教育体制では支援の手が行き届きにくい。ゆえに彼らはこれから厳しいのではないかと思います。

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田中&米川

・・・。

大学生、厳しいっすか・・・。
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喜多さん

これは文科省の調査なんですが、大学生で留学に興味がある人は50%くらいだそうです。ところが、実際に行く人は10%。つまり、実際に行動に移せる大学生はそれだけ少ないという事実です。

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羽田

そこのギャップは何なんですかね?

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喜多さん

人の興味は二つの要素でできていると言われています。一つは「それをやったらいいことがありそう」という「結果期待」、もう一つが自分がそれが出来るかという「効力期待」の二つ。それで日本の場合は周りの人にそもそも留学経験がある人が少ないから結果期待が持てなかったり、自分が越境経験がなかったり語学に自信がなくて効力期待も持てない。だからそこまで強い興味が持てていないんだと思います。

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羽田

なるほど・・・興味ってそういうメガニズムになっているのか。

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喜多さん

キャリアの考え方にSCCT理論というのがあるんですが、これを見ると経験や人との出会いに加えてやはり環境が大切なんだなという事がわかると思います。ただその環境も結局は自分で選択してしまっているので、結局、変われない人はずっと変われないというループになってしまいます。

社会認知的キャリア理論(SCTT)のイメージ。なるほど・・・。

人の目就活をした結果、疲れていく若手社会人たち

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羽田

NCSって大学生が多いんですか?

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喜多さん

いえ、僕のやっているNCSでは最近は社会人の方の参加が増えているんです。立ち上げた頃は学生中心でしたが、今は全体の60%が社会人。

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羽田

あれ、そうなんですね。学生が中心かと思っていました。僕の立ち上げる街角キャリアラボも20代社会人までを対象としているんです。僕もMFC時代に出会った学生たちが今社会人になってるんですが、疲れてる人が多いなという印象で。学生時代にそれなりに意識も高く精力的に活動していたのに、どうしてこういう事が起こるんでしょう?

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喜多さん

そうですね、結論から申し上げると学生時代に「他人の目就活」をしていたからでしょう。学生時代に活動していた人は企業からは評価されやすいんですよ。圧倒的多くの、何もしていない学生から比べたら目立って見えるので。そして大手企業から内定をもらえてしまうと、どうしてもそっちに流れてしまうんですよね。見栄えや知名度を優先して就活をしてしまうんです。そもそも活動する人は、承認欲求が高めの人が多いですし。

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米川

そうなってしまうのはわかる気がします・・・。

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喜多さん

もちろん、それでその人が幸せならそれで全然いいと思います。ただ、そうならなかった場合にキツイ現実が待っている。社会人になってからの「ここじゃなかった」は本当に追い詰められるんです。学生の就活は「今の生活の次のステージ」について活動してるからまだ希望があるんです。でも社会人の場合はそうではない。

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羽田

ああ、わかるなあ。確かに僕の知ってる若手社会人も大手企業に就職している人は疲れている事が多い気がする。

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喜多さん

例えばあなたはどんなことがやりたいですか?

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米川

私は・・・抽象的ですけど人の役に立ったりその人の良さを引き出すようなことがやりたいですね。

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喜多さん

いいじゃないですか。それを仕事にすればいい。でも実際には周囲の目を気にして商社とかコンサルとかそういう世間的イメージの良い大手企業に行ってしまうんですよ。入社して最初は良くても、そのうちに段々違和感を感じてくる。

食い入るように話を聞く学生スタッフ二人
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羽田

うん、そういう若手社会人、増えてる気がします。何故なんでしょう。

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喜多さん

世の中的に「やりたい事をやる」「ビジョナリー」という意識がスタンダードになってきたからでしょうね。メディアでもそういうインタビュー記事が増えて目にする機会が増えてきて焦ってしまうんです。そこについていけない自分がいる。「あれ、今の自分は違うんじゃないか」という事態に気づいたら体に出てくる。でもその時に改めて「自分のやりたい事」を考えると、切羽詰まっているから見つからない。「私は何がやりたいんだろう・・・このまま一生ここで働くのかな・・・」と思いつめてしまうんです。

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羽田

そうならないためには何歳くらいまでに自分の本当の場所を見つける必要があるんですかね?

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喜多さん

よく言われるリミットは35歳ですね。転職市場の求人を見てるとやはりそれくらいが目安です。でも、実質的には20代のうちに本当の自分について考えておく必要があると思いますよ。

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米川

でも実際には、やりたいことがあったとしても世間からのバイアスを気にしてしまうことが多いことが問題だと私は考えています。先ほども環境の話が出てきましたが、そういう環境バイアスはどうすればいいんでしょう。

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喜多さん

家庭環境とか経済状況とか、環境によってやりたいことができない、というケースは確かにあります。ただ多くの場合は、本人の行動・思考不足です。自分に関心のあること、疑問に思っている事をちゃんと問え、と。例えば今「バイアス」という言葉が出てきましたが、そのバイアスについてどれくらい調べましたか?どういう仕組みで「バイアス」が生まれてくるのか、人にどのような影響を与えるものなのか、調べましたか?

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米川

・・・調べてはいないです・・・。

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喜多さん

そうなんですよ、正体がわからないなら解決はできないですよね。先行している研究や理論があるはずなので、それをちゃんと調べて学ぶことをしない人が多いんです。学ばないし考えないから環境を選べない。そして苦しんでいく。本当は大学はそうした学びの宝庫のはずなんですけどね(笑)。

やりたい事はそこまで大事なのか?喜多恒介の考える、やりたい事三原則

NCSの合宿の様子。すごく良さげな雰囲気・・・
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羽田

でも一方で、そこまでやりたい事ドリブンで就職すべきなんですかね?例えば中長期的なキャリアを考えてファーストキャリアを考える人もいると思うんです。例えば将来起業したいけどスキルがないからまずはコンサルに入ろう、みたいな。

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喜多さん

その仮説を強く持ってる人は自分の力で転職できると思います。目的意識が強い。「起業」というやりたいことがあるわけです。本当にそれがやりたいことなら就職してからもブレないし、その時がきたら自分で行動する。

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羽田

あー、なるほど。「やりたい事」って業界とか仕事内容のことじゃないわけですね。

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喜多さん

そうです。僕の考えでは、やりたいことには三つの原則があります。

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大学生

超気になります。

”やりたいこと”がガンガン言語化されていく・・・!
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喜多さん

やりたい事三つの原則その1は、「やりたい事は動名詞でもある」という事です。先ほど羽田さんが言った通り、やりたい事というのは何も業界名や職種といった名詞だけじゃない。行動を表す動名詞でもいいんですよ。「人と話すこと」や「誰かの役に立つこと」みたいに。

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米川

そう言われると考え方が楽になる気がします。どうしても「会社名」や「職種」の中で見つけようとしてしまうので。

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喜多さん

その2は「やりたいことは変化する」、そして3つ目は「やりたいことは複数あっていい」です。みなさん、何かにこだわりすぎなんですよ。やりたいことなんて変わったっていいし、何個あってもいいんです。これが、やりたい事三つの三原則。

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羽田

いや、わかるなあ。そう考えると誰でもやりたいことはありそうですよね。

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喜多さん

そうなんです、やりたいことは誰でもあるんです。大事なのは、自分の心が何を求めているのかに対して一旦素直になってみること。自分のやりたいことについてちゃんと考えて言語化することです。そして言語化したら次はちゃんと発信すること。自分のやりたいことがわかってそれをどうやって仕事にしようかと思った時、自分で探せる範囲には限界があるんです。検索して出てくるようなものじゃないかもしれないし。だから、自分の考えを色んな人に話をしてみる。5人、10人、20人、と。そうしたらそのうち誰かが助けてくれるかもしれないし、アドバイスをくれたりするんですよ。

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田中

でも将来のことみたいな真面目な話を人に話すと意識高いと言われたり、抵抗ある人もいると思うんです。それはどうしたらいいですかね。

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喜多さん

先ほどから出ている周囲の環境の話題ですね。ちゃんと許してくれる環境、安心して挑戦できる環境が必要です。自分に自信をつけるためには小さくてもいいから成功体験を積むことが大切なんですが、周りがそれをケアして肯定してあげないといけませんからね。

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田中

そうか、だからどういうコミュニティに所属するかって大切なんですね。

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喜多さん

そうですね、僕のやってるNCSは合宿型のプログラムがあるんですが、それは箱根でやるんですよ。それまでの日常から切り離された環境で、同じ問題意識を持った人たちが語り合って、泊まりがけで自分を開放して行くんです。箱根、温泉も美味しいものもあるし、環境としては最高です。

NCSの様子2。親密な環境であることが伝わる。
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田中

普通に行きたいです(笑)

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羽田

「やりたいこと」と簡単に言われがちですが、なんかその正体が少しわかった気がしました。ありがとうございました!

取材を終えた二人の感想

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田中

自分の好きなことに向き合い続けるということは、出来るようで出来ていない人が多い。しかし、喜多さんは向き合い続けた方だと強く感じた。「ちゃんと問い、勉強したか?」というお言葉に、まだ素直に返事はできない。疑問に思っている正体をとことん突き詰めることに向き合い、仮説検証を繰り返すことが、自分のやりたい事が見つかるサイクルであると学んだ。また、自信を持って経験を積んでいけるサイクルに入るには、環境的要因やそのサイクルに入れる人間関係の土台が必要だと感じた。この環境的要因や人間関係が整っていない人の方が世間では多いのではないだろうか。最初は整っていなくとも、ある“コツ”さえ掴むことができれば、好循環サイクルに入れるだろう。喜多さん流の“コツ”とは、欠片でもいいから言語化する→人に話す→また自分で考えるというような循環を少しでもいいから回していくということだ。その循環の中で、発信し、出会いがあり、チャンスが転がってきて、人間関係も広がってゆくとおっしゃられていた。

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米川

自分の軸や好きなことがあっても、それがどこの業界に繋がるのかわからず不安に思う学生は多いと思います、私もその中の一人です。今まで私は自分のやりたい仕事が何なのかわからず、ただやみくもに様々な業界に対する知見を広げていました。しかし今回のインタビューで、今の自分に必要なことは業界に対する知見を広げることではなく、自分の好きなことに向き合い続け、やりたいことが何なのかをとことん追求することであると学びました。自分の「これやってみたいかも」という仮説や、それに対する検証、分析の弱さと甘さを痛感しました。面目ないです。これからは、仮説を追及するために、心が求めていることを素直に言語化し行動し発信していくと共に、自分の弱いところ見つめなおし、問い続けていきたいと思います。また、そうすることで人間関係の輪を広げ、良い環境づくりをしていきたいです。

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