こんにちは、街角キャリアラボ編集部です。毎月、就活生なら知っておきたい経済やキャリアに関するニュースをお届けします。詳しくはリンク先の記事を見てもらうとして、この画面内では専門用語を使わずに、ポイントをわかりやすく解説します。なるべく多くの人に影響を与えそうなニュースを選んでいますので、その業界への興味の有無に関わらずチェックください!
生保大手4社、代理店への出向廃止へ
2025年8月25日、第一生命ホールディングス、明治安田生命保険、住友生命保険は、営業を目的とした社員の出向(自社の社員を銀行や代理店に一時的に派遣すること)を取りやめる方針を発表しました。5月には日本生命も同様の方針を示しており、これにより生保大手4社は、早ければ来年から出向を取りやめることになります。
生命保険業界では近年、出向社員による情報漏洩や過度な利益の提供(便宜供与)が問題視されています。昨年、出向社員が出向先の同業他社の顧客情報を自社に漏らしていた事例が判明したことを受け、今回の措置に至った経緯があります。さらに先月には、三菱UFJ銀行に出向していた日本生命の社員が、保険の販売に関する情報を社内に漏洩させていたことも明らかになっています。
現在、各社によると銀行や乗合代理店(複数の生命保険会社の商品を扱う代理店)への出向社員は約250人で、主に出向先の従業員に対して販売方法の教育などを担っています。今後、この出向廃止の動きが業界全体の営業体制や人材配置にどのような影響を及ぼすかが注目されます。
今回の出向廃止は、単に企業の営業体制を見直すだけでなく、業界全体の信頼向上や健全な企業文化の構築に向けた重要な一歩となりそうです。
日本政府、外国人起業家の「経営・管理ビザ」取得条件を大幅強化
2025年8月25日、日本政府は、外国人起業家向けの「経営・管理ビザ」の取得要件を大幅に厳格化する省令改正案をまとめました。
具体的には、資本金や出資総額の基準を従来の500万円以上から3,000万円以上に引き上げるほか、経営経験が3年以上あること、経営に関する修士相当の学位を取得していること、さらに常勤の職員を1人以上雇用することが新たに求められます。加えて、新規事業計画については中小企業診断士による確認を義務付けるなど、これまで以上に厳しい基準が設けられました。
一方で、事業分野の制限や日本語能力については従来通りで、特別な変更はありません。
これまで、日本の「経営・管理ビザ」は諸外国に比べ取得要件が緩く、ペーパーカンパニー(法務局に法人登記されているが、実際には事業活動を行っていない、書類上のみで存在する会社)を悪用して資格を取得する事例も報告されていました。今回の改正により、外国人が新規事業を始めるハードルは高くなると見られるとともに、国内企業の競争環境にも影響を与える可能性があります。
法務省によると、令和6年末時点で同資格の在留者は約4万1,600人に上りますが、そのうち資本金や出資総額が3,000万円以上の企業はわずか約4%にとどまっています。既存の資格保有者も、資格更新の際には新基準での審査が行われる見込みです。
外国人起業家政策の変化を知ることは、グローバルなビジネス環境を理解するきっかけになります。
今回の改正は、単にビザの要件を厳しくするだけでなく、外国人起業家の質を高め、国内企業との健全な競争環境を整える一歩となりそうです。
日本政府、米関税リスクを警戒――8月経済報告で企業収益見通しを「足踏み」に下方修正
2025年8月27日、日本政府は8月の月例経済報告を発表し、米国の高関税政策の影響で企業収益の見通しを「改善に足踏みがみられる」に下方修正しました(足踏み=改善が一時的に止まっている状況)。
自動車業界を中心に、4~6月期の業績が振るわなかったことを踏まえ、前月の「改善している」から引き下げられました。
一方で、景気全体は「緩やかに回復している」とされ、経済全体はゆるやかに良くなっています。
個人消費は「持ち直しの動き」、設備投資も「持ち直し」、輸出は「おおむね横ばい」とされました(持ち直し=少しずつ回復している、横ばい=大きな変化なし)。
住宅建設は駆け込み需要の反動で「弱含み」、公共投資は公共工事の進捗で「堅調に推移」と評価されています。
今回の報告は、企業収益だけでなく、グローバルな政策が日本経済に直接影響することを示す重要な指標となりそうです。