こんにちは、街角キャリアラボ編集部です。毎月、就活生なら知っておきたい経済やキャリアに関するニュースをお届けします。詳しくはリンク先の記事を見てもらうとして、この画面内では専門用語を使わずに、ポイントをわかりやすく解説します。なるべく多くの人に影響を与えそうなニュースを選んでいますので、その業界への興味の有無に関わらずチェックください!
三井住友カードがPayPayと2025年夏から本格提携
5月15日、三井住友フィナンシャルグループとソフトバンクが大規模な業務提携を発表しました。個人向け金融サービス「Olive」とキャッシュレス決済「PayPay」の連携を中心に、AI技術やデータ活用で協力を深める包括的な戦略です。
この提携により、普段使っている決済サービスがより便利になります。Oliveアプリ内でPayPay残高による支払いができるようになるほか、VポイントとPayPayポイントの相互交換も可能になります。会員数6900万人のPayPayと国内カード市場トップシェアの三井住友カードが手を組むことで、我が国最大のポイント経済圏の構築を目指しています。
注目すべきは金融以外の分野での協業です。ソフトバンクのヘルスケアサービスがOlive経由で利用できるようになるほか、買い物データと人の流れのデータを組み合わせた新しい分析サービスも開発します。AI分野では、三井住友カードのコールセンターにAIが導入され、2025年度中に24時間いつでも対応できる体制を整える予定です。
就活を進めるにあたって、この動きは重要な変化を示しています。従来の業界の境界が曖昧になり、金融とIT、通信が融合する時代において、企業選択の基準も変わってきています。単独企業の強みだけでなく、他社との連携力や変化への適応力が競争力の源泉となっており、特定業界にこだわらず幅広い視野でキャリアを考える必要があります。また、AIやデータ分析など複数分野のスキルがより重要になっており、継続的に学び続ける姿勢が求められる時代といえるでしょう。
日本製鉄、2兆円でUSスチール買収完了
日本製鉄は19日、アメリカの鉄鋼大手USスチールの買収完了を発表しました。買収総額は約2兆円で、日本企業による海外買収としては過去最大級の規模となります。
橋本英二会長は記者会見で「バイデン前政権に却下されましたが、トランプ政権において正しい判断を得ました」と述べ、政権交代が決定的要因だったことを明かしました。トランプ政権の「製造業復活」政策と、日本製鉄が提示した110億ドル(約1兆6000億円)の設備投資計画が合致したことが承認につながりました。
買収条件として、アメリカ政府は「黄金株」1株を永久保有し、USスチールの経営重要事項に拒否権を持ちます。設備投資の削減や本社移転、製造拠点の閉鎖などには大統領の同意が必要となる異例の条件です。
この買収は就活生にも大きな影響をもたらします。まず、日本の製造業企業のグローバル展開が活発化し、鉄鋼、自動車、機械など幅広い分野で海外勤務や国際プロジェクトの機会が増加することが予想されます。
また、「黄金株」導入に象徴されるように、企業活動で政府との協力関係が重要になっており、公共政策への理解や政府機関との連携能力を持つ人材の価値が上昇しています。
イスラエル・イラン軍事衝突が激化、核施設攻撃で中東情勢緊迫
2025年6月13日に始まったイスラエルとイランの軍事衝突は激化を続けており、6月17日にはイスラエル軍がテヘランで軍司令官を殺害し、イラン西部のミサイル発射設備を空爆するなど攻撃を拡大しています。イスラエル軍はこれまでに200以上のミサイル発射設備を破壊したと発表し、イラン側の攻撃能力を削ぐ戦略を取っています。
この衝突の背景には1979年のイラン革命以来の両国の根深い対立があります。革命によってイスラム原理主義国家となったイランがイスラエルとの国交を断絶し、国家承認を拒否したことが対立の起点となりました。エルサレムの聖地問題やアメリカとの関係を巡る対立が、現在の危機的状況につながっています。
今回の攻撃は、国際原子力機関(IAEA)が6月12日にイランを非難する決議を採択し、アメリカとイランの核開発協議が行き詰まったタイミングで実行されました。特に注目すべきは、イスラエルのカッツ国防相が地下深くに設置されたフォルドゥ核施設について「確実に対処する」と述べ、今後も核関連施設への攻撃継続を示唆していることです。イスラエル軍当局者は、計画している攻撃を1、2週間以内に完了するとの見通しを示しており、緊迫した状況が続いています。
エネルギー市場への影響は深刻で、イスラエルが世界最大のガス田である南パルスガス田や石油貯蔵施設を攻撃したことで、エネルギー価格の上昇が懸念されています。これにより石油・ガス関連企業や電力会社の業績に変化が生じる可能性があります。また、原油高の高騰はあらゆる産業に深刻な影響を与えることが懸念されます。世界的な物価高が今後も家計を圧迫する可能性もあります。
金融市場では防衛関連銘柄がけん引してイスラエルの株式相場が上昇する一方、サウジアラビアやエジプトなど周辺国の株式相場は下落しており、地政学的リスクが市場全体に影響を与えています。防衛・安全保障産業やサイバーセキュリティ企業の重要性が増しており、これらの分野への投資や採用が拡大する可能性があります。
商社や物流業界では中東ルートのリスクが高まり、代替輸送ルートの開拓が急務となっています。就活生として、こうした国際情勢が企業活動に与える影響を理解し、エネルギー安全保障やリスク管理といった分野への理解を深めることで、企業理解や職種理解に繋げることができるでしょう。